砂被りの席で。

　砂被りの席で観戦してしまいました。といっても、相撲ではなく、痴話げんか。

　私の部屋は、隣のアパートとの距離が程近く、お互いの窓が開いていればテレビの音なら聞こえるほどです。

　今日、家に帰ったのは9時過ぎでした。

　最近暖かくなったからでしょう、お向かいさんの窓があいていました。それに気づいたのは、大きな声で話しているのが聞こえたからです。

　それ自体は珍しくありません。しかし、今日はちょっとばかり事情が違うようでした。

　私が鍵を出そうとして、バッグの中を手探りしている間に、お向かいさんから、

「いっつも私ばかりがまんして！！」という、声がきこえてきました。

　あまりに切実な声で、あまりにありきたりのせりふなので、つい、少し笑ってしまいました。ごめんなさい。

　久々にああいうのを聞いて、お向かいさんもたいへんだなあ、と。思いました。

　女の子にはわるいけど、がまんしてるのはあなただけではないと思いますよ、となんとなく言いたい気がします。
　
　
　閑話休題。

　今日の出会い。

　閑話休題（２）。

　
　私はニフティの、デイリーポータルZが大好きで、できることならこの会社がある大森に骨をうずめたいと思っています。

　ここです。おもしろいでしょう。

　そんな私にチャンス到来です。

　その名も、「千円あげるから」。要するに投稿コーナーです。

　それは、こっち。

　しかし、私はこの企画に参加する資格がありません。

　なぜなら、私の家にはテレビがないからです。

　あまりのショックに、英語の教科書のような日本語になってしまいました。

　こんな、悲しい目にあうぐらいなら、春の気分のよい夜に、痴話げんかでもしてほうがマシかもしれません。

　まったくついていません。

手すり