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エアコンの修理工が1時ぐらいにやってきました。身なりのきちんとした初老の方で、ユニフォームの青い半袖シャツがとてもよく似合っていました。
思ったよりも小さなバッグで来た彼は、まず、室外機のカバーをはずし、それから室内機の分解に取り掛かりました。室外機を扱うときには洗濯機が邪魔になるので、私が洗濯機をどかしました。
室外機はカバーをはずしただけで特に何もせず、室内機の分解を始めると、迷うことなく一本の黒いソケットを抜きました。カバンの中から真新しいテスターを取り出すと、細かいところで当てにくいようでしたが、何度かテスターで黒いソケットを調べていました。
すると「車に部品を探してきます」と言い残して一度部屋を出、だいぶ時間をかけて部品を取ってきました。
それを交換しているのを横で見ていて、「そいつが元凶ですか。」と聞くと、懇切丁寧に、どう壊れているのか、教えてくれました。
それは小さな部品で、直径7ミリぐらい、長さ3センチぐらいの金属製の円筒に、黒い電線がついたものでした。気の効いた形のような気がしたので、記念にもらっていいかとたずねると、笑いながらいいですよといってくれたので、財布に収めました。
使い道は、本の栞か何かになるかもしれません。
後片付けをしながら、少し雑談をすると、やはり夏前のこの時期がいちばん忙しいようでした。一日に11軒ほど回るようで、かなりの重労働になるようです。
これで涼しい夏が送れますというと、何も言わずにはにかんでました。