手すり

おれブログかく。

おーい、おにまるくーん!

horie772004-02-18

 富士山が大きな絵に描かれてお風呂屋さんにお目見えしたころ、豊後水道には小さな船が一艘、浮かんでいました。一見すると何の変哲もない船ですが、へさきの飾りだけはけばけばしい朱色です。

 ふざけていただけの子猫がもう少しで海に落ちそうになっている向こうを、その船はゆっくりと進んでいきます。子猫がそれに気づかないのは、熱心に遊んでいたからだけではなく、海から照り返す夕日があまりに強くて、そっちを観ることが甲斐のないことだったからです。

 やがて夜になり、朱色の舳先も闇の色に沈んで、とうとうただの船になりました。

 変わりにその船を目立たせるのは、船室の窓辺にかけられた石油ランプです。