読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

手すり

おれブログかく。

本で、読んだやつ。

入院中は本を読もうと、なにがいいのか考えた。

たとえば中里介山の大菩薩峠。これは以前青空文庫で見つけてけっこう読んだのだった。おそらく7、8割ぐらいはいったんじゃなかろうか。かつて読んでいた時期に会社の先輩に読んでるんですよと言ったら、「おれ、入院したら読むわ」って先輩が言ってた。

だから再開しようかと思ったけど、でもなんか、あらすじ思い出すのに時間がかかりそうだからやめた。それで頭の中でいろいろ思い出してキーワードをほじくり返して「東北学」というのが出てきたから、アマゾン先輩に聞いて、おくさんに買って来てもらった。 

東北学 忘れられた東北 (講談社学術文庫)

東北学 忘れられた東北 (講談社学術文庫)

 

 はやりの民俗学ですよ。東北だと柳田先生が遠野物語が有名ですけど、それだけじゃないでしょ、こぼれているものがいっぱいあるんですよ、という本。けっこう前のめりになっているので、筆が滑ってるのかと思うところがあるけど面白い。オシラサマ信仰とかマタギとか素敵すぎる。

もう一冊、調子に乗ってこちら。 

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

 

 こちらは民俗学者の宮本常一さんと、そのパトロンであった渋沢敬三さんについての評伝。東電OLのノンフィクションを書いた佐野さんが著者というのが面白い。

で。宮本常一さん、マジですごい。農村を訪れてはインタビューを行い、古文書を目の前で読んであげる。そうすると資料を提供する側にもメリットがあるというわけ。さらに自分も畑やっている経験と、聞き取りをした知識を生かして、行った先々で農業技術の指導とか民俗芸能の復興とかもする。鼓童の前身は宮本さんが立ち上げたらしい。あと小千谷の闘牛とか。そのくせ女性問題がつきまとったりして、ほのかに香る小物感。

さらに、そのパトロンであった渋沢敬三さんもこれまたすごい。まず渋沢栄一の孫というのがすごい。wikipediaみると、財界人、民俗学者っていう肩書きがめちゃくちゃで格好いいよ。なんなんだよっていう。父さんの篤二がもう少ししっかりしてれば学者になれたかもしれなかったのにね。

この二人が戦前、戦中、戦後という荒波に揉まれて行くからたまらない。とくに敬三さんの戦後の没落っぷりときたら。確かに男気にあふれてはいるけど、どこか望んで落ちてるような、それでホッとするところがあったのかしらとか、敬三さんの写真を見ると思えてしまうよ。まあ、なんにせよ、人物ですわ。

偉大なる小物と孤独な大物が寄り添う姿がすばらしい。とても面白く読みました。いま奥さんが読んでますよ。