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座頭市について。
今まで見た座頭市は2本。
いずれも勝新太郎の作品です。監督、主演を兼務しています。
感想
結論から言えば、「まあ、無難に着地したなあ」というのが感想です。
勝新が偉大なので、別の話にしなければいけなくて、その結果ああなったというも理解できます。
衣装が小奇麗である(山本耀司)とか、呑み屋にカウンターがあったりとか、タップダンスとか、様々なディテールで違和感を出して「勝新の座頭市とは違うんだぞ」というサインを出し続けているように見えました。
そうした違和感によって観客に納得させるというのはたけしぐらいの力がないと無理だったのでしょう。
なので、「たけしはよくやった」と。
その他の所感
正直なことを言えば、「座頭市は勝新」というのは個人的には譲れません。勝新の座頭市のほうがすごかったと思っています。
しかし、昔の作品に対する感想というのは得てして濁りがちです。
なぜかといえば、昔の作品というのはすべて一緒くたになっているので、その中から一つを掬い上げた時点で、「その作品を発見した喜び」というものがあるからです。
その気持ちの主成分はたぶんノスタルジーで、しばしば新しいものへ辛口の評価を下したりします。
たけしが座頭市をやる上での一番の敵はおそらく、こうした昔の座頭市を知る人のノスタルジーではなかったかと思います。