手すり

おれブログかく。

むすこが

去年の4月に生まれたむすこが1年経って1歳になった。誕生日おめでとうございます。

1年を振り返ると小さな風邪は引いたけど、あらかた健康でいてくれて、おくさんもそうだからありがたい。

ちなみに、生まれてすぐのむすこは俺に激似だったけど、日を経るに従って、いろんな顔になった。おれの兄貴に似てる時もあれば、おくさんの弟さんに似てるときも、奥さんのお母さんに似てるときもあって、誰にも似てない時がある。うちのむすこはみんなからいろんな物を引き継いで、誰でもない一人の人間になるんだろうと思っております。

最近のむすこは流行の最先端の「待機児童」になった。本人はあまり待ってる感がないけど。最近は歩き始めて、なんかしらんけど色んな所を指さして歩いてる。

手の上で野菜を切るのもまねしたりした。

昔、NHKには「世界の家庭料理」って番組があって、まだ小さいころだったけど、楽しみにしてた。

今でも覚えてるのはなんか、ヨーロッパのどこかだけど、パン生地こねたのを発酵させるのに窓際のオイルヒーターの上にのせてしばらく放置するという手順だった。まだパンを作るというのがとても手間のかかる、わけわからん工程のものだと思っていたから、そこを何とかしてくれるオイルヒーターすげえって思った。オイルヒーターは就職してから買った(パンは作らなかったけど)。

昨日、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」という映画を観に行った。シェフであるおっさんの没落と再生の話なんだけど、素直に見られる良作でござった。自分としては、父子の関係修復のストーリーとしてみていた。

主人公は当初、仕事の領分から息子を遠ざける。そのほうが仕事に集中できるから。だけどフードトラックからの再出発では、息子を夏休み限定ではありながら、仕事仲間として受け入れる。一緒に働くことで、父子の関係が生きたものになる。これを観て、働いている背中を子どもに見せられる仕事というのはうらやましいなと思った。

それと小さく感動したのはエンドロールでのメイキング映像。内容は料理指導なんだけど、グリルで焼くチーズサンドについて。チーズサンドに切り方について「外科医のように正確に切る。集中すること。世界にサンドと自分だけ。切り方を間違えたら世界が終わる」っていうのがあって、素晴らしいと思った。世界っていうのは簡単に終わるし、簡単に始まるのだ。

ひとつ学んだこと。料理が上手いとセクシーな女性と結婚できるし、その人と離婚してもスカーレット・ヨハンソンと付き合えるということ。息子にもぜひ10歳の誕生日に6インチのシェフ・ナイフをプレゼントしたい。

 

アメリカ大陸

カナダのモントリオールと、アメリカのサンフランシスコに出張で行ってきた。合わせて10日間。アメリカ大陸は初めてだったから緊張した。

 

出張に合わせて、友だちにyelpというアプリを教えてもらった。アメリカ版ぐるなびみたいなもので、地球の歩き方とかを買う気がなかったので良かった。結果、重宝した。すごく重宝した。

 

初日。まずは成田からシカゴで乗り換えて、モントリオールへ。ちょっと寒い。ホテルは中華街の目の前で、裏はクラブやストリップ劇場のあるところだった。まずはFire Grillという有名なお店で夕食にステーキを食べた。みんなリブロースを食べてたけど、Tボーンステーキというのを食べてみたかったので、そっちを食べた。お客さんもいたけど、おれのステーキが一番大きかった。

 

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ホテルに戻ってしばらくしたら、ホットドッグが食べたくなってきた。yelpで調べたらPool Roomという老舗が近所にあるようだったので、そこまで歩いた。ホットドッグはスチームスタイルで、パンも焼かずにそのまま。刻んだキャベツが山盛りで、付け合せにポテトも頼んで、チェリーコークを飲んだ。

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寒かったけど、そのまま散歩して、土曜の夜だったから治安が悪い。コールガールとか、ストリートファイトとか、アル中とか見かけて、いい感じだった。

 

翌日は日曜日で、少しモントリオールの街をぶらぶらしてから、地下鉄に乗ってマルシェに行った。マルシェは野菜中心で、昔からよくテレビで見た通りの欧米風の市場だった。かぼちゃ、ナス、キャベツ、はちみつ、メイプルシロップ。なんにせよみんなデカい。ズッキーニなんか鈍器みたいだ。

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お腹が空いていたので、タコスを食べて、おみやげ用にメイプルとか、ビスケットとかを買った。はちみつを買った時に、レジを前に済ませた現地のお姉さんが、「そのはちみつすごくおいしいよ」と、さらっと言って去っていったのが、すごく格好良かった。

 

モントリオールの滞在中、他の食事はだいたい仕事の会食などで終えたけど、最終日にまたお肉を食べに行った。モントリオールの港あたりで観光客の多いところだったから、韓国人観光客と日本人観光客に挟まれて肉を食べた。

 

サンフランシスコへ早朝の移動。ユナイテッド、と思っていたらコードシェアでカナディアン・エアの運行だった。23キロの荷物重量制限があるんだけど、上司が引っかかっててわらった。なにせ渡航前に上司は、荷物の重量制限についてわざわざメールをくれていて、引っかからないようにと注意していた本人だったから。・・・なんなんだよ。泣きそうな顔をしてたから、オーバー分の荷物はおれのトランクに入れてあげた。

サンフランシスコには昼ごろに着いた。、思ったより暖かくなかった。空港について、荷物をピックアップしたらキャスターが1個吹き飛んでた。上司のもおなじく1個吹き飛んでいて、空港のどこかに落ちたキャスターを思ってぼんやりしてたら韓国人から韓国語で話しかけられた。海外に出ると一度は韓国人から話しかけられる。すまぬ。おれは日本人なのだ。

空港からサンフランシスコ市内までは電車に乗ったけど、電車がきたない。電車からホテルまではすぐだけど、歩道にホームレスが多い。モントリオールのほうが街は綺麗だと思った。

まずは着くなり1件のアポイントを終えて、ケーブルカーからフィッシャーマンズ・ワーフで食事という定型パターン。夕刻となって気温が下がって、ケーブルカーがクソ寒い。死ねる。空腹でフィッシャーマンズ・ワーフに凍えながら着いた。

フィッシャーマンズ・ワーフはおみやげ屋が軒を連ねているだけで何もなくて、食事も期待したほど良くはなかった。yelpであとでレビューをみたら、ボロクソに言われてた。もしもサンフランシスコで時間が足りなかったら、最初に諦めるのはフィッシャーマンズ・ワーフでいいよ。

 

翌日はサンノゼ電車でGO!シリコンバレーの会社と英語でミーティングとか、自分のやってることのトレンディさにめまいがする。実は英語に不自由して終始脇汗ダラダラだったけど(アポに遅れたし)。それでも個人的にはこれで今回の出張の山を終えたので、ほっとした。

 

晩御飯はyelp大先生を召還して、評判の良さそうなインド料理屋「Little Delhi」にした。

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7時に行ってみると、すでに数組が待っている。店はアットホームな雰囲気でスパイスの香りが昨日のフィッシャーマンズ・ワーフでの悪い思い出を忘れさせてくれる。

席について、カレーとナン、タンドーリを頼んだ。カレーはそれほど辛くない、丁寧な味だし、タンドーリは一緒に大量の野菜が出てきてうれしかった。それと、ひよこ豆と何かの野菜をヨーグルトで和えた謎の料理。この謎の料理が美味かった。

おれはお酒を控えたかったので、ラッシーを頼もうとしたんだけど、ラッシーのところに「砂糖、または塩」って書いてた。ちょっとおもしろいかと思ってラッシーの塩味を頼もうとしたら、お店のおばさんが、首を横に振った。「そんなの飲む人いないよ」。

出てきた料理はおいしいし、お店の雰囲気もいいし、おばさんも陽気だから繁盛するのも分かる。帰る頃には10人くらいの行列ができてた。このお店は長めの旅行でバターに飽きたときにおすすめ。メニューもわかりやすいし。

食後、そのまま少し散歩した。上司が初めてサンフランシスコに来た時に泊まったホテルとかを、興味が無いから、死んだ目で見に行って、その夜を終えた。

 

翌日は、朝ごはんで頑張った。ホテルの近所にグリドル屋さんがあったからそこに行って、ベジーオムレツを食べた。付け合わせのポテトは細切りで、大きな鉄板の上にびっしり敷き詰められて焼かれているやつでおいしい。

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朝食へ向かう道、Twitter本社があった。看板はやたらさわやかで、時計も付いてるもんだから銀行みたいだ。

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午前のアポイントを終えて、名所のフェリー・ターミナルへ。ここは最近リノベーションされたらしく、おしゃれなお店が入ってるし、ご飯も軽く食べられる。だからフィッシャーマンズ・ワーフはあきらめてよい。ってしつこいか。

 

夕食はyelp大先生に聞いて、最後を飾るにふさわしいお肉をシュラスコスタイルで食べることにした。yelp大先生の素晴らしいのは、予約もできるところだ。英語で電話する必要もない。7時に3人。それだけ。席がいっぱいだったらその場で答えてくれる。Webだから当然、午前1時にも予約ができるのだ。お店の名前はエスペテス・シュラスカリアという大変覚えやすい名前なので、もしもサンフランシスコに行くことがあったらぜひどうぞ。

 

果たして素晴らしい肉に我々はたどり着いた。うまい。うますぎる。様々な部位の塊肉がテーブルにやってくる。焼き加減も微妙に違うので、レアを少し、とか言って切り分けてもらえるのも楽しい。お店は倉庫のような建物で、中はとても綺麗になってる。デートもいれば、誕生日会もいるし、家族連れもいる感じ。

それぞれのテーブルで会話と食事を楽しむなかにあって、我々のテーブルは男3名、黙々と食べ続けてまるで部活帰りの高校生みたいになってた。肉以外はすべてビュッフェスタイルになってるから、野菜を取りに行って、肉と食べて、また野菜を食べに行って・・・というフォーメーション。無限に食べられるかに思えた瞬間もあったが、やはりそういうわけにはいかず、泣く泣くデザートのチョコレートムースとエスプレッソに移り、出張のまとめをしてホテルに戻った。

 

帰路の飛行機では韓国映画の「怪しい彼女」というのを見たんだけど、機内食ペンネを食べながら、うかつにも泣いた。

 

モントリオールで買ったレモン・ジャム。恐ろしいほどに黄色い。けど、味はやさしくておいしい。

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穴を掘ってまた埋める

ゴールデンウィークだからどこかへ、という考えにならなかったのは、仕事のせいじゃなくて、男子が一人わが家に追加になったからなんです。4月の生まれなのでまだ首も座らず、空腹感も不快感もぜんぶ泣くことで表現するという、ちょっとしたモンスターの世話をする必要があるのです。

男親なのでおっぱいが出ない。なので赤子が泣いているときに何が必要なのか分からないときに、手段がない。乳首すわせてみるかと思ったけど、まあ、やめとく。一つだけ、Tシャツの襟から手を突っ込んで胸毛を鷲掴みにするのはやめてほしい。鼻水が出るほど痛い。

仕方が無いから、以前から放っておいた庭の手入れをしようと花壇作りをさせていただきました。丁度、義理の母が応援に来てくれているのですが、見かねて庭の草むしりをしてくれてました。これを無駄にするわけにはいかない。ホームセンターに電車で行って、色々買い物をしました。ホームセンターに電車で行くってなんか、すごく負けた気がするよね。

  1. 培養土
  2. スコップ
  3. 花壇用の囲い(杭)

実はいままで、ずうっとやろうと思っていたのだけど、スコップ買ったり培養土も45リットルが平米あたり3袋必要だったりして、腰が引けていた私です。でもまあ、ここは一丁やったるかいな、ということで2平米分、6袋購入。軽トラを貸してくれると言うので、軽やかに積み込んで、自宅へ。

翌日の朝から、庭を掘り返して培養土を混ぜて、囲いを立てて、土を戻す。で、囲いの長さが足りないのに気づいたのは、その日の午後でした。めんどくさいから買いに行くのは後日にまわして、おくさんが買って来たバジルとか、謎の花とか謎の花とかを植えました。ちょっと本よんだんだけど、コニファーガーデンとか言ってるのがありますよね。それはしゃらくさいのでやめようと思います。なんか、こう、もふぁっとした感じの庭にして行きたいです。言うなら、信楽のたぬきとダビデ像を左右に置きたい。

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で、花壇の囲いを再度買いに行ったら売り切れてたんですよね。売り切れってなんなの。花壇の囲いって、売り切れるんだ。ホームセンターで売れずにホコリかぶってるイメージなんですけどね。

しばらくはそのままで行きます。次何植えたらいいかな。

ジムジム

おじさんになったから、スポーツジムに通うことにした。家から歩いて20分ぐらい。自転車に乗れば10分切るけど、乗らない。なぜならば、駐輪場に停めるにはスポーツジム謹製の、最高にダサい駐輪場利用者ステッカーを自転車に貼らないといけないからだ。嫌すぎる。だから歩いていく。

腰痛には腹筋を鍛えないといけないと聞いた。だからヘンテコマシンに体を預けて引っ張ったり、持ち上げたりしてる。

 

それに飽きるとプールに行って泳ぐ。気をつけないといけないのは、いつプールに行くか。時間によっては、子供向けの水泳教室をやっていて、その脇を泳がないといけない。それの何が問題かというと、お母さんが子供の水泳教室を見に来ているということだ。お母さん方の監視の中、泳ぐというのはあまりやりたくない。あの人溺れているのかと思ったらバタフライのつもりなのね、とか、となりでダサいフォームで泳がれるとうちの子のフォームが乱れるわ、とか、ストロークの回数が安定してないあのおっさんはきっと会社でもうだつがあがらないに決まっているわ、とか。いくらでも書けるな。

 

だから遅い時間に行ったりすると、あまり人がいなくて快適だ。ウォーキングのコースでおばさんがひとり、ムーン・ウォークみたいな動きを続けていて、その脇を泳ぐのは問題ない。唯一は、シャワーの温度調節がF1マシンのステアリング並みにシビアということで、もうちょっと温かく、とおもうといきなり熱湯が出てくるから死ぬ。逆に回すと水が出るから死ぬ。

 

ちなみに、入会する前に評判を確かめようとネットをみたら、ある人がプールに行くのに水着で階段を行かないとたどり着けないのに文句を言っていた。甘いな坊や。豊島区のプールで水着でシースルーエレベーターに乗ったおれは、もうそのくらいでは動じない。あれはすごい経験だった。女の人と二人で乗りあわせたことがあるけど、うっかりおれはゴーグルしたまま乗ってしまったので、この人オレのこと怪しいと思っているんじゃないかなと思ったし、きっとこの女の人も、この人私がこの人のこと怪しいと思ってるんじゃないかと思ってるんじゃないかなと思ったりして頭がおかしくなりそうだった。

 

まあいいや、それで、この週末にはついに、スタジオデビューを飾った。スタジオではいろんなプログラムがあって、ヨガとか、ピラティスとか、バレエとか、ズンバとかやってもいい。とりあえずピラティスとヨガを足したようなのがあったから、試しに参加した。音楽に合わせてヨガとかピラティスのポーズをキメるのだ。つらい。腹筋と背筋と足と腕が悲鳴を上げている。バオー。隣の人に悲鳴が聞こえてないか心配になるほどだ。しかも音楽がテイラー・スウィフトというのもつらい。それでも、生きてゆく

さわやか

おれにはおくさんがいて、そのおくさんはこないだ静岡に行っていた。なにかで大賞をもらって授賞式に行ったのだ。作文で受賞したとしか教えてくれない。静岡だから「しらす会議」かも知れないし、「限りなく透明に近い緑茶」かも分からない。授賞式の様子も詳細には聞いてないから、レッドカーペットでファンにサインしながら入場したかもしれない。とにかくおめでとう。

ちなみに静岡出身のおれの知り合いは一人だけで、その人の実家がクリーニング屋さんだそうなので、静岡のイメージはこれで、クリーニング屋さんでお茶飲みながら受賞している感じになった。

静岡におくさんが行っていたので西方面は任せることにして、一人で自転車担いで、同じ日に群馬に行って来た。快速碓氷という、四文字熟語みたいな電車に乗って、横川まで行った。

前日に決めたからあまりプランはないけれど、自転車で走ると高崎までほとんど下りというので敢行した。さらに横川には碓氷峠鉄道文化むらという、魅惑のスポットがあるという。それも少し楽しみであった。好きなのは、昔の特急車両とブルートレインで、寝台客車3段式をみて興奮して、ちょっと寝てみようかと思ったけど、どこぞのくそガキお子様が入って来たからやめた。

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小さい頃からこの形の車両をみると、仮面ライダーアマゾンに出てきた敵を思い出すんですよね。いま調べたら「十面鬼ゲドン」っていうらしい。

十面鬼 ゲドン - Google 検索

似てますよね。いや、改めて比べるとそうでもないか。

1時間くらいはぶらぶらしてた。トロッコ列車が走っているんだけど、そこからおりて来たのが養護学校生の一団で、男の子が一人「ゴリラにとられるぞ!」と何度も何度も叫んでて、なんか格好いいなと思った。

鉄道三昧を終えて、自転車で下山する。本当にずうっと下りだったからけっこう寒くて、途中で磯辺温泉というのを見つけたから風呂に入って、座敷でラーメン食べて、周りの客から聞こえる群馬弁を味わった。

最後は高崎へ。街外れからずうっとスズラン(というデパート)が見えていたからそれを目印にがんばってこいでたら雑木林に突っ込んだりした。それでも着いて、帰りも快速碓氷が偶然来たからそれに乗って帰った。家の近所も寒かった。

帰って来たおくさんはおれがお勧めした「さわやか」という奇怪な名前のレストランでハンバーグを食べたらおいしかったと言っていた。

本で、読んだやつ。

入院中は本を読もうと、なにがいいのか考えた。

たとえば中里介山の大菩薩峠。これは以前青空文庫で見つけてけっこう読んだのだった。おそらく7、8割ぐらいはいったんじゃなかろうか。かつて読んでいた時期に会社の先輩に読んでるんですよと言ったら、「おれ、入院したら読むわ」って先輩が言ってた。

だから再開しようかと思ったけど、でもなんか、あらすじ思い出すのに時間がかかりそうだからやめた。それで頭の中でいろいろ思い出してキーワードをほじくり返して「東北学」というのが出てきたから、アマゾン先輩に聞いて、おくさんに買って来てもらった。 

東北学 忘れられた東北 (講談社学術文庫)

東北学 忘れられた東北 (講談社学術文庫)

 

 はやりの民俗学ですよ。東北だと柳田先生が遠野物語が有名ですけど、それだけじゃないでしょ、こぼれているものがいっぱいあるんですよ、という本。けっこう前のめりになっているので、筆が滑ってるのかと思うところがあるけど面白い。オシラサマ信仰とかマタギとか素敵すぎる。

もう一冊、調子に乗ってこちら。 

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

 

 こちらは民俗学者の宮本常一さんと、そのパトロンであった渋沢敬三さんについての評伝。東電OLのノンフィクションを書いた佐野さんが著者というのが面白い。

で。宮本常一さん、マジですごい。農村を訪れてはインタビューを行い、古文書を目の前で読んであげる。そうすると資料を提供する側にもメリットがあるというわけ。さらに自分も畑やっている経験と、聞き取りをした知識を生かして、行った先々で農業技術の指導とか民俗芸能の復興とかもする。鼓童の前身は宮本さんが立ち上げたらしい。あと小千谷の闘牛とか。そのくせ女性問題がつきまとったりして、ほのかに香る小物感。

さらに、そのパトロンであった渋沢敬三さんもこれまたすごい。まず渋沢栄一の孫というのがすごい。wikipediaみると、財界人、民俗学者っていう肩書きがめちゃくちゃで格好いいよ。なんなんだよっていう。父さんの篤二がもう少ししっかりしてれば学者になれたかもしれなかったのにね。

この二人が戦前、戦中、戦後という荒波に揉まれて行くからたまらない。とくに敬三さんの戦後の没落っぷりときたら。確かに男気にあふれてはいるけど、どこか望んで落ちてるような、それでホッとするところがあったのかしらとか、敬三さんの写真を見ると思えてしまうよ。まあ、なんにせよ、人物ですわ。

偉大なる小物と孤独な大物が寄り添う姿がすばらしい。とても面白く読みました。いま奥さんが読んでますよ。